小学生の頃によく御津で食べた、蒸した二個のカキ。四個のカキをお父さんと二個ずつ分け合ったという当時のエピソードが、後に重要な伏線となって回収される見事な構成の作文でした。
「波はきらきらと妹の顔を照らした」「小さな貝殻は七色の光を放つかのような不思議な色合いをしていた」という二か所における表現は、その効果を考えて描写するという文章力が光る部分でもありました。
また三歳の妹は、「お兄ちゃん一緒に行こう」と誘ったり、笑い声をあげて走り回る姿を見せて宮﨑さんの幼いころを思い出させてくれたりという、絶妙の役回りとして登場しており、その妹の手を引いて海岸に降りる場面を想像すると、妹思いの宮﨑さんの人柄がにじみ出ていました。
小学校の頃は二個しか食べられなかったカキを今は四個食べられるようになり、その成長を理解するお父さんはさりげなく「全部食べてええぞ」と言葉をかけました。
「身長が伸びて声変わりはしても、カキの味と家族の温かさは変わらずに心を満たす」という最後の部分は、大好物の海の幸カキが疎遠になっていた父子の会話を引き寄せ、希望あふれる家族の将来を想像するに余りある結びとなっていました。
これからも美味しいカキを育んだ美しく豊かな海を思い、家族みんなで仲良く暮らしていってほしいと思います。
